カテゴリー: 能・狂言・落語会

５月６日（土）、小雨霧雨の中、
茂山家の「春狂言２０１７」を見に、
大阪の大槻能楽堂に出かけてまいりました。

【番組】
金津（かなづ）
無布施経（ふせないきょう）
今際の淵（いまわのふち）

最初は童司さんのお話

新作狂言である「今際の淵」の
作者でもある童司さん、
新作を書く時は

「百年後も残る狂言に」

という思いで書かれるそうです。
今回の「お話」も単なる曲の説明にとどまらず、
子方の一時期だけ演じる「金津」、
円熟した年齢になってから
多く演じる「無布施経」について
何十年か後の狂言会で、
蓮くん（茂さんの息子さんで『金津』の子方）の
「金津」を見たことあるよ、とか
千作、七五三ご兄弟の
「無布施経」をあの頃に見たよ、
とかいう話を今日のお客さんが
するかもしれませんね、
というようなお話を、
長い時の先が見えているような、
透明なまなざしで話されました。

それぞれの曲について

「金津」はお地蔵さまに扮した
蓮くんがホントに可愛いです♪
子方の、しかも一時期だけに
限られるというのがよくわかります。
「無布施経」は、変な言い方かも
しれませんが、渋い演目だと感じました。
お坊さんと檀家さんのお布施についての
やり取りで終始するのですが、
いい意味で緊迫感がない（どんなんや）
ある種突き抜けた感じです。
淵に身を投げようとして
鉢合わせした二人の男が出てくる
「今際の淵」については、
以前にホール上演で観た時に
絶対能舞台で見る方が面白い、
と思ったのですが、
それが間違ってなかったと
確信できました。

今回は、最初の童司さんのお話に尽きます。
「これから」を見たい、というのが、
全体を通しての感想と言っていいかも
しれません。

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今年も行ってきました、篠山春日能

週間天気予報とか、ずうっと雨予報だったので、
今年はホール開催かと思いましたが、
前日夕方から雨は上がり、
例年通り、春日神社能舞台での
開催とあいなりました。
開場待ちの時に近くにおられた方の
お話では、演者のみなさんも、
この能舞台で開催してこその
篠山春日能だとおっしゃっているとか。

【番組】

能　　　桜川（さくらがわ）

狂言　　魚説経　（うおぜっきょう）

能　　　邯鄲（かんたん）

まずはお狂言のことを

狂言「魚説経」は、漁師をやめたにわか僧侶が、
説法を頼まれ、魚の名前を並べ立てて
それらしく読むものの、最後にはバレてしまう、
というあらすじですが、あれだけ絶妙に
お経の中に魚の名前を織り込むというのは、
逆に、ちゃんとお経を知ってないと
できないんじゃないか、などと
設定の面白さが台無しになるようなことを
考えながら見ておりました(笑)

能の子方さん

能は２曲とも子方さんの出演がありました。
「邯鄲」は「魚説経」シテの茂山逸平さんのご子息、慶和くん。
舞台上には宿主の役で祖父の七五三さんもおられるので、
「三代がそれとなく揃うこととなる」（公演パンフレットより）
「桜川」の子方さんも同じ姓の方が
地謡さんの中にいらしたので、こちらも「それとなく」親子共演かな。
２人とも、強い目の光が印象的でした。
「桜川」は困窮のため、子が自らの身を売って
親に金を渡すという役なので、そういう意志の強さが
表われているように思えました。

夢を覚ます雨

「邯鄲」は中国のお話で、飯が炊けるまでの
ほんの短い時間に、国王になって栄耀栄華を手に入れ、
仙家の薬や酒で、千年以上を栄華を尽くす夢を見る、
というあらすじ（簡単すぎるやろ）です。
国王の前で「夢の舞」を舞うのが子方で、
王も誘われるように舞い始めます。

そして、狂言座（①）に控えていた宿主が
現実世界で飯が炊けたことを知らせに動く、
夢の中の子方と大臣（短いあらすじには出てないケドずっといた）が、
目附柱（②）から舞台を斜めに（細い矢印）横切り、
切戸口（③）に走り込む、
舞っていた王、寝台に飛び込む、
この３者の動きが同時に行なわれる、
まさにその直前に雨が降り出したのです。
曲はもう終盤でしたが、観客の中には
席を立つ方も多少ありました。
あるいは、私も含め、自席に座ったまま
レインコートや帽子、タオル等をかぶって、
しのいでいました。

雨の中の終演、そして

そうして、曲が終わり、シテがハケたところで、
終演のアナウンスが入ったのです。
本来は、囃子方、地謡まですべてがハケて、
舞台が空になったところで入れるべきものですが、
観客がこれ以上濡れないよう、心づかいで
早めに入れられたものと推測します。
しかし、アナウンスすべてが終わらないうちに、
客席と、その後ろから拍手が起こり、
アナウンスは中断しました。
ハケていかれる役者さん、囃子方さん、地謡さん、
そして、舞台上で寝台として使われていた一畳台を
片付ける若い役者さんたち、寝台の上の「邯鄲の枕」を
大事に抱えた宿主役の七五三さん―――
全員が舞台上からいなくなるまで、
拍手は続いたのでした。
雨が降り出した時に、席を立ったお客さんたちも、
帰ってしまったわけではなく、客席の一番後ろで、
傘をさして、立ったまま、終演まで観ていたのです。
自席で傘をさすと、後ろだけでなく、
左右にも迷惑になると思われたからでしょう。

観客への気遣いで早めのアナウンスを入れた主催者、
演者たちへの気遣いで席を立たなかった観客、
周囲への気遣いで自席で傘をささずに、
客席後方で立ったまま傘をさしていた観客、
雨が降り出しても、動じることなく
平常通り演じ切った演者のみなさん、
その場の誰もが誰かを気遣って行動する、
ステキな光景を見ることができた、
今年の篠山春日能でした。

———参加募集中！———————————————-

「古典と遊ぶ　春爛漫茂山狂言会」に
行ってきました。

【番組】

　「三番三（さんばそう）」
　　解説…茂山宗彦
　「縄綯（なわない）」
　「髭櫓（ひげやぐら）」

今年は「五世千作十四世千五郎襲名披露記念公演」
でもありました。
なので、いきなり十四世千五郎さんによる「三番三」！
昨秋の襲名披露公演に続き、再び拝見できるなんて
何ともありがたいことですm(__)m

「髭櫓」の出オチ

「髭櫓」で最初に出てくるのは立派な髭の男、
続いてその女房です。
ふだんは女性役が多い茂さんが、
顔中に黒々とした髭をつけて
わざとらしくエラそうに出てくるのが
まず出オチ(笑)
続く女房が逸平さんで、男よりも背が高く
体格がいいのが、ワタシ的には密かに出オチ。

そして戦う女房たち

この夫婦が口げんかのあげくに、
男が女房を打擲（ちょうちゃく）して追い出した後、
女房が近所の女たちを引き連れて戻ってきて、
戦いが始まるという展開です。
戦いの場面は、能「烏帽子折（えぼしおり」」や
「正尊（しょうぞん）」のパロディーになっていて、
地謡さんや囃子方さんが舞台上に登場、
にぎやかに盛り上がります。
能の元ネタは２曲とも残念ながら未見ですが、
「烏帽子折」は能マンガ「花よりも花の如く」に出ていて、
牛若丸の東下りの物語で、パロディーになっているのが、
牛若丸が盗賊をバッタバッタと切り伏せる場面であることは
わかりました。
攻め手の女房軍団はみな、長い柄の武器を手にして、
迎えうつ髭の男は、なぜか髭に櫓を装着して応戦。
ここの殺陣とも言える場面が、みんな腰がしっかり据わって、
足の運び、武器の扱い、流れるように美しく、カッコいい

笑いは真面目から生まれる

しかし、そこは能舞台で行なわれる新喜劇である狂言、
役者さんたちがカッコよければカッコいいほど、
地謡が大真面目に謡い、囃子方が大真面目に演奏するほど、
おかしさがどんどん増幅されていきます。
最後の最後、１ｍの特大毛抜きで髭をむしられた男が逃げ、
それを女房達が追って舞台からハケた後、
地謡さんたちが残された武器その他を拾い集めて、
何事もなかったように去って行かれるのに、
またひと笑いを誘われました。

笑いを作り出すための日々の修練、
これもまたカッコいいなと思ったのでありました。

———がんばり屋さんのオトナ女子募集中！———————————————-

前の記事にも書きました通り、
茂山千五郎家「若手」のみなさまによる
「花形狂言」が冬の大ツアーにて、
わが地元へお越しくださいました

《御演目》
↑パンフにこう書いてあった

「普通の狂言は一つだけです」と(笑)

後半３作品は２０１５年の花形狂言でも

拝見しましたが、はい、確かに(^_^;)

そして初見の「かけとり」も見事に「普通」じゃない

解説の時に逸平さんが見せてくださった

能の所作がとても美しくて見とれましたが、

これがしっかり伏線になっているという仕組み。

しかーし！

役者さんたちはもちろん、後見さんも、
舞台スタッフさんまでも、いろんな見せ場があった

その最後に！！

 

最強の出オチ「狸山伏」

はい、こちらのポスターのど真ん中のお方です。

昨年茂山千五郎家の当主名「千五郎」を襲名なさった

ご当主さまですね。

「狸山伏」自体は２０１５年の時も見たし、

トトロのお装束（？）は去年も見たのに！

その破壊力ときたら

前の４作品、すべてふっとびました。

期待通り、途中のぼそぼそボヤキ台詞の中に

「わしもう千五郎やで」

が入っていて、ワタクシ、密かに大拍手。

最後はトトロでスキップ、ボックスステップ、

果ては全員そろってのランニングマン

自由だ・・・(*^^)v

マジメにオマケ

最初の解説の時に、逸平さんが、
狂言師の声がデカいのは、野外で演じていた時代に、
観客の注意を引き付けるためだった、という意味の
お話をなさって、そのあとが上述の能の所作という
流れでした。
その時におっしゃったのが、能の動きが少ないのも
観客を引き付けるため、というか、集中させるため

だったという意味のことでした。

つまり、じぃーーーーーーーーーっと座ったままで
動かない役者に、いつ動くか、もう動くか、という感じで

意識が集中していくという理屈なのだそうです。
能の静と狂言の動、という対照の妙、だけでは

なかったのだという、新しい見方を知ることになりました。

———参加者募集中！———————————————-

☆☆ゆる楽バレエストレッチⓇ＠ＨＯＷＢＩ☆☆
　　２月１７日（金）１９：４５～１時間ちょい
 　　お時間が許す方、夜カフェでお茶など(^^♪ 

☆☆ゆる楽バレエストレッチⓇ＠武庫之荘☆☆
　　２月１８日（土）１３：４０～１４：５０

☆☆ゆる楽バレエストレッチⓇ＠エクラ☆☆
　　２月１９日（日）１４：３０～１５：４０

☆☆アラフォーからのゆる楽バレエストレッチⓇ＠加西ＫＣＣ☆☆
　　　第２,４火曜日　１５：３０～１６：３０　
☆☆シニアのためのゆる楽バレエストレッチⓇ＠加西ＫＣＣ☆☆
　　　第２、４火曜日　１６：４５～１７：４５　
☆☆大人から楽しむバレエ☆☆
　　毎火曜日　１１：００～１２：１５＠三木市緑が丘
　　毎木曜日　１１：２５～１２：４０＠西神中央（０７８－９９１－５６８８）
　　　※体験、見学随時受付中！

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（加西ＫＣＣクラスは０７９０－４２－４１５３）

今年も行ってきました「お米とお豆腐」大阪公演

今年はカタカナ【プログラム】