カテゴリー
能・狂言・落語会

夏の陣大阪城本丸薪能鑑賞その3

薪能の記事、その1その2からの続きです。
写真がネタ切れになってきました(^_^;)

150923_0939

「翁」の後、休憩をはさんで「猩々」の開演、
その前に例の(たぶん)主催者男性の挨拶と解説。

「猩々」について

「猩々」はお酒の好きな妖精で、
「猩々緋」と言われる鮮やかな色の名称の元でもあります。
またまた能マンガ「花よりも花の如く」の台詞によると、
「おおむねオカルト」(笑)である能の中では
おめでたく、楽しい曲で、4日間の初日に
「翁」に続くにふさわしい曲です。
現在では、舞を中心とした後半部分だけが
上演されることが多いそうですが、
今回は原作通りに前半からの上演で、
後半のみでは出てこない、猩々妻との二人舞が見所です。
(しかし、冷静に考えると、酒好きの妖精夫婦が
呑んで踊るって、何だかコワいかも・・・)

脇正席の特権

猩々のお装束は、頭から全身赤で統一されています。
ただ、かがり火や照明の効果か、
それともその効果をもともと見越してのことか、
上述「猩々緋」より淡い、普通の緋色にも、
もっと淡い珊瑚朱にも見える色だったように思えました。
こういうのが間近で見られるのは、脇正の席の特権でもあります。
舞台を横から観る形にはなるものの、
その角度だからこそ見られる立ち居振る舞いの形、
特に足運びの近さはマニアックな見所です(^_^;)
私はこの曲で初めて見たと思うのですが、
猩々夫婦の舞の途中で、背伸びの形で
横にすべるように移動する動きがあり、
もしかしたら、正面からでは足元が
見えなかったのではと思うと、
ワタシ的にはこれまたお得感アリでした。
(足元が見えない方が浮遊している感じで
 それはそれでおもしろいかもしれません)

お舞台はいいなあ

茂山家のファンクラブに入会したせいもあり、
最近は狂言だけの公演に行くことが増えていましたが、
やっぱり能もよいなあと、今回思ったのでした。
(でも来月は狂言2公演

——————————————————————————————–
☆☆加西KCC体験レッスン☆☆
 9月29日(火)「ゆる楽バレエワーク」15:30~
      「体幹を体感する楽な歩き方」17:45~
      ※能狂言の「歩き」も取り入れています(*^^)v
  
お申し込み、お問い合わせは0790-42-4153

☆☆月イチゆる楽バレエワーク@エクラ☆☆
10月11日(日)14:30~15:40
11月15日(日)10:30~11:40

☆☆バレエの「身体の使い方」を取り入れた着付け☆☆
出張着付け出張着付けレッスンの受付予定表はコチラ

お申し込み、お問い合わせはお問い合わせフォームより
お願いいたします。

カテゴリー
能・狂言・落語会

夏の陣大阪城本丸薪能鑑賞その2

前の記事で、お舞台に注連縄が張られていることについて
「翁」という曲が「神事」だからという風なことを書きましたが、
そもそも能舞台という空間自体が、三間四方の異世界で、
そこにいる人たちは、日常とは異なる世界にいると考えてよいと思います。
能楽に限らず、舞台芸術の世界では、程度の差はあれ、
舞台上は特別な空間であるという考え方は存在しています。

目の前だけど別世界

それはともかくとして、「翁」の演じられている空間は
すぐそこに見えているのに、空気が違う、
境界がはっきりと感じられるようでした。
今回、私の席は脇正と言われる舞台横の席で、
一番端だったので、橋掛かりがすぐ横でした。
目の前には「シテ柱」と言われる、橋掛かりから舞台に入る
角にある柱があり、その横にはかがり火、
シテ柱の脇には三番三を舞う茂山逸平さんが
座っておられました。

ちょっと横道

また話がそれますが、今回の薪能で、初日を選んだのは、
曲目が「翁」である他に、狂言方が茂山家であったことも理由の一つでした。
そして、能狂言の「歩き」に関心を持って観るようになってから、
身体のバランスが理想的だと私が思うのが、逸平さんなので、
今回の三番三はとても楽しみだったのです。
しかも、後見としてお父さまの七五三さんと叔父さまの千三郎さんまで、
ずっと舞台上にいらっしゃる!!(落ち着け)

閑話休題

で、シテ柱横の逸平さんに戻ります。
前述の通り、すぐ横にかがり火があり、
風向きのせいで煙はもちろん、炎も届くのではと
思われる場所です。
(能マンガ『花よりも花の如く』の中の『能は拷問芸能』という
 言葉が浮かびました
そんな中、静かに目を閉じて、出の時を待つ逸平さんは、
観客どころか、かがり火とも異世界におられるようでした。

そうして張り詰めた空気の中、粛々と進んでいく「翁」。
空間がどんどん研ぎ澄まされていくようです。
ちなみに翁を演じるのは観世流宗家の観世清和氏。
この方がいらっしゃる、作り出す場もまた別世界です。
翁の退場とともに、囃子方に大鼓が加わって、
静から動へ。
空気を切り裂くように、空に向かって大鼓が響き、
立ちあがった逸平さんの舞が始まります。

「翁」は特別

「能を観るのは想像力が必要」と以前に書いたことがありますが、
「翁」の場合は目の前の空間で行われていることを
ただ見て、感じて、そこにいる、というのが
適切な見方なのではないかと思いました。

やっぱり続く(笑)

——————————————————————————————–
☆☆加西KCC体験レッスン☆☆
 9月29日(火)「ゆる楽バレエワーク」15:30~
      「体幹を体感する楽な歩き方」17:45~
      ※能狂言の「歩き」も取り入れています(*^^)v
  
お申し込み、お問い合わせは0790-42-4153

☆☆月イチゆる楽バレエワーク@エクラ☆☆
10月11日(日)14:30~15:40
11月15日(日)10:30~11:40

☆☆バレエの「身体の使い方」を取り入れた着付け☆☆
出張着付け出張着付けレッスンの受付予定表はコチラ

お申し込み、お問い合わせはお問い合わせフォームより
お願いいたします。

カテゴリー
能・狂言・落語会

夏の陣大阪城本丸薪能鑑賞その1

大阪城本丸薪能初日に行ってまいりました

薪能は5年ぶりです。
基本的には、野外能は好きなんですが、
薪能となると終演時間が遅く、帰路の交通機関やらが気になって、
なかなか観に行く機会がありません。

150920_1813

今回は、駅からのルートは何とか把握している大阪城。
しかし!
会場の本丸広場までが遠い
駅のホームから合計すると、20分以上は絶対かかったと思います。
(城内散歩中のイヌにかまう時間含)
到着は開演時間ぎりぎりでしたが、開演前に、
主催者(たぶん。パンフにも紹介はなく、今もどなたかわからない)
の挨拶の後、城内の豊国神社の神職の方による火入れ式が
行なわれました。
空模様に問題はなかったのですが、風が強くて、
なかなか火が点かず、まさかの火入れ式押し!

【初日の番組】
  翁(おきな)
  猩々(しょうじょう)

舞台に注連縄が張り巡らされていることからも
能楽のルーツの一つが神事であったことが
伺われますが、「翁」はおそらくその昔を色濃く残す曲目です。
「能にして能にあらず」と言われることもあるという
特殊な演目で、決まった筋はなく、
翁が謡い、千歳(せんざい)が舞い、
翁が舞って退場すると、狂言方の三番三(さんばそう)が舞う、
という流れで演じられます。
また、舞台上で翁が面(おもて)を掛けるのですが、
これを客側から見える状態で行なうのは、
「翁」だけだそうで、翁役が「神」になるという
重要な意味を示すのだとか(通常は客に背を向けて行なう)。

演じる役者は精進潔斎をし、本番前、着付けが終わると、
土器でお神酒をいただき、お洗米を口に含み、
お塩で身を清め、切り火をしてもらってから
舞台に上がるそうです(公演パンフレットより要約引用)。
お装束も、通常は裃もしくは羽織袴着用の
囃子方、地謡、後見すべてが素袍(すおう)で正装。
まさに、大阪城を借景とした薪能の初日に
ふさわしい曲と言えるでしょう。

私がチケット申し込みの時に、4日間行なわれる
この薪能の曲目を見て、初日を選んだのは、
演じられる機会の少ない「翁」が観られることが
大きな理由の一つでした。

長くなったので(笑)つづく

——————————————————————————————–
☆☆加西KCC体験レッスン☆☆
 9月29日(火)「ゆる楽バレエワーク」15:30~
      「体幹を体感する楽な歩き方」17:45~
  
お申し込み、お問い合わせは0790-42-4153

☆☆月イチゆる楽バレエワーク@エクラ☆☆
10月11日(日)14:30~15:40
11月15日(日)10:30~11:40

☆☆バレエの「身体の使い方」を取り入れた着付け☆☆
出張着付け出張着付けレッスンの受付予定表はコチラ

お申し込み、お問い合わせはお問い合わせフォームより
お願いいたします。

カテゴリー
能・狂言・落語会

シュール、シニカル、大笑い―花形狂言2015―

150801_1034

 

連日、この夏の最高気温を更新している中、
茂山家の若手五人衆(※)による花形狂言を観に行きました。
※正邦さん、宗彦さん、茂さん、逸平さん、童司さん
 本人たちより「もうオッサン」との自己申告有(笑)
会場は西宮市の兵庫県立芸術文化センターです。

↑写真の中に、およそ古典芸能と思えない(!)
いでたちの方々がいらっしゃることからもわかる通り、
創作、あるいは古典のアレンジ的な演目を、
第一部、第二部合わせて10曲演じられました。
(一部と二部は別公演扱いで、完全入れ替え制)
シュールあり、シニカルあり、大笑いありと
みなさんの芸の幅広さ、自由度の高さに、
感心しながらも笑うしかない、すばらしい舞台でした。
ゲスト出演は落語家の桂よね吉さん。
フリートークの司会的役割及び第二部の最後には
重要な役割で狂言にも出演されました。

今回の番組

【第一部】
 終わりの始まり
  ビールを飲んでテレビを見ながら寝て起きたら
  太郎冠者に・・・がエンドレスで起こる
 新しい朝
  朝起きたら異形の姿に!
  相談に行ったらその相手がまた・・・
 寄せ笑い
  舞台上に現れた壁に顔が二つ、
  古典的な狂言の掛け合い「だけ」を見せる。
 大田マサル
  KYな男、大田マサルが面接で・・・
  エピソードの半分は実話。
 裸大名
  童話「裸の王様」を狂言にアレンジ。
  大名のファンキーなはじけっぷり!

【第二部】
 守り神
  阿吽の狛犬の他愛もない会話。
  その中に出てくる彼らの主人の正体が・・・
 my sweet home
  狂言の移動の約束事を逆手にとって瞬間移動。
  最後は宇宙空間へ。
 日本語
  ふだん意識せずに使っている日本語の、
  さまざまな決まり事にフォーカス。
 狸山伏
  供を連れて山中を行く山伏の前に、
  ♪も~り~のな~かに むかしからすんでる♪
  不思議な生き物があらわれる!
 呼声
  落語家よね吉さんを狂言の世界に引き込もうと、
  最初は普通に、次には声色を使い、
  呼び出す狂言師たち。

ひさびさに舞台構成に注目した

基本的にはたった5人で演じるわけなので、
着替えや舞台転換の時間を、どうつなぐかが
むずかしいところなのです。
これを、よね吉さんがバーテンを演じる
バーカウンターのセットでのフリートークを
はさんで切り抜けるのがすごい!
と一部の時に思っていたら、二部ではなんと、
トーク中にそれをネタバレしてしまう

よね吉「なあ、今度は何でこのバーのシーンなん?」
逸平「童司の着替えが間に合わん!!」

そして山伏に着替えた童司さんが、
袖から出てきて着替え完了の合図を送ると、
カウンターにいた茂さんが、従者を演じるために
袖に走っていく。

この構成の巧妙さには恐れ入りましたm(__)m

現れたのは「となりの・・・」?

実は童司さんだけでなく、正邦さんもお着替えで、
現れたのは上記写真ではど真ん中にいる、
♪も~り~のな~かに むかしからすんでる♪
 「不思議な生き物」!(^^)!
最後にはこの格好で軽快なスキップ
次の演目「呼声」の最後にも、暗転の直前に出てきて、
他のみなさんとともにやっぱりスキップ(*^^)v
太ったとか年やからとか、自虐的な台詞もありつつ、
あの着ぐるみ姿(笑)で、スキップができるのは、
やはりお稽古の積み重ね
・・・と何となくお仕事ブログっぽく終わりにします(^_^;)

150801_1644

 

終演後のロビーにて↑
(撮影許可有・・・「SNSに載せるならちゃんと載せて」by宗彦さん)

そしてお知らせコーナー

☆☆月イチゆる楽バレエワーク@エクラ☆☆
8月9日(日)、9月19日(土)ともに14:30~15:40

☆☆姿勢をサポート、姿勢でサポートする着付け☆☆
出張着付け出張着付けレッスンの受付予定表はコチラ

お申し込み、お問い合わせはお問い合わせフォームより
お願いいたします。

カテゴリー
能・狂言・落語会 身体・健康

狂言会「傳之會」@金剛能楽堂

先週の狂言鑑賞の会場は、シテ方金剛流の総本山(?)
金剛能楽堂でした。

150620_1459

お庭には鯉がいますぞよ!

150620_1458

 

京都文化博物館でのんびりしすぎたのと、
最寄りのバス停までの道を間違えたのとで、
すっかり時間を食ってしまい、
タクシーで現地に向かったのでありました。

スキャン0002

今回の公演は「傳之會(かしずきのかい)」
茂山千五郎家の正邦さん、茂さんご兄弟の二人会です。

【番組】
 以呂波(いろは)
 素袍落(すおうおとし)
 悪坊(あくぼう)
 口真似(くちまね)
 二人袴(ふたりばかま)

会場に到着したのが「素袍落」の途中で、
本来なら会場内に入ることはできても、
他のお客様の迷惑にならないよう、
終わるまで後方で待つことになるのですが、
席が通路側だったため、スタッフさんのお気遣いで、
無事に席に着いて観ることができました。

子供たちの足腰

「以呂波」は子供の初舞台となることが多い曲だそうです。
今回も茂さんの息子さんがデビューだったのですが、
上述の理由で、観られず残念(>_<)

「口真似」は、正邦さんの3人の息子さんたちだけで
演じられました。
当たり前ですが、子供たちは体重が軽く、
それゆえ良くも悪くも動きが軽いです。
摺り足で歩くだけでも、舞台の板の上1㎝くらいを
すうーっと滑っているような感じです。
大人の場合は、足袋が床に吸い付くかのように、
小走りであっても、足のウラが確実に床をとらえています。
あるいは従者である(ことが多い)太郎冠者が、
舞台に出てきて腰をかがめる、その時に、
子供はぴょこん、という感じですぐ膝を伸ばしてしまっていました。
おそらく筋肉的な問題で、膝を曲げて腰をかがめた形で
キープしていることができないのだと思われます。

狂言師の足腰

能に比べて、狂言は動きがさまざまでしかも大きく、
ありえないような上半身の形で、なおかつ
片足を上げたポーズをキープしていたりします。
「菌(くさびら)」という狂言を観た時には、
うさぎ跳びのような体勢で、背中を伸ばした形で、
摺り足で舞台上を動き回る狂言師たちの足腰の
強靭さ、しなやかさに大変驚いて、
後日、茂山逸平さんの講演に行った時に、
特別なトレーニングなどしておられるのかと
訊いてしまいました。
その答えは、基本的には日々のお稽古だけで
特別なことは何もしないとのこと。
子供たちもこれからお稽古を続けることで、
しっかりと舞台を踏みしめ、ありえない決めポーズを作る、
狂言師の足腰を自分のものにしていくのでしょう。
それを見続けるのが楽しみです。

月イチゆる楽バレエワーク@エクラ
 7月19日(日)、8月9日(日)
出張着付け出張着付けレッスン
 受付予定表はコチラ