土曜日に、医療者向けがんセミナーのお手伝いに行きました。
「がんサバイバー(患者・家族)の体験談を通して」
というテーマで、今回は3名の体験者の方のお話でした。

日常生活はフットサル

演者のうちのお一人が、現役で活躍中のプロのフットサル選手で、
今回は後述の理由から、彼のお話が大変心に残りました。
肺がんの診断を受けて、治療をしなければならないと
医師から告げられた時に、まず彼が尋ねたことは、
「いつからフットサルができますか?」
そして、分子標的薬による治療を推奨する医師に
日常生活には支障がない治療だと言われた時には
「僕の日常生活はフットサルなんです」
と言ったそうです。

「ふつうの」日常生活とは

そもそも「日常生活」って何でしょう?
例えば、男性であれば、9時から5時のデスクワーク、
残業は法の範囲内、通勤時間は電車で30分、
といったところでしょうか。
既婚女性ならばここに、子供は1~2人、
預け先には困らず、双方の親が健在、
あたりの条件が加わってくる、みたいな。
治療の選択におけるメリットの一つとして
提示されるのであれば、この「日常生活」は
「多数派」である必要があります。

ひとりひとりみんな違っている

でも、上述のように列挙してみると、これらが全部当てはまる人は
ほとんどいないだろうと思えます。
「日常生活がフットサル」まで極端ではなくても、
「日常生活」という単語ひとつとっても、
「多数派」といえる状況なんてありえないのです。
これは、「がん」という病気についても同じです。
部位が違えばもちろん、同じ部位の患者同士であっても、
まったく同じ種類で、同じ進行度合いで、ということはありません。
これに、「日常生活」をはじめとする、さまざまな個別の事情が
関わってくるのですから、治療の選択はほんとうに難しいです。

医療者でないからこそ

それでも、できる限りひとりひとりの患者に寄り添い、
本人にとって最善の治療ができるという理想の形に
できるだけ近づきたいと思う医療者たちが、
今回のようなセミナーに参加しておられるのだと
私は信じています。
そして、そんな医療者と患者との間で、
医療者でないからこそできることを、
乳がん体験者コーディネーターとして、
実践していこうと思います。